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VIVA NEWS

掲載日2018.03.08

更新日2018.03.08

【歯ブラシの歴史/第13回】歯磨き剤は、潤滑油

歯磨き剤は、お口の潤滑油


なぜ歯磨き剤は、ただの潤滑油なのでしょうか。歯を綺麗に美しく保つためには、そのほとんどが「歯ブラシ」の機械的作用、物理的作用によるものだからです。歯磨き剤はいわば補助的なものです。歯を健康に保つためには、歯ブラシそのものの形態や質、その使用法、使用時期が問題だと言われています。

ところが、多くの人は、歯ブラシの潤滑油的存在である歯磨き剤に気をとられ、その原動力である歯ブラシに、あまり関心を払おうとしないと歯科医は指摘しています。どれだけ、良さそうな歯磨き粉を見つけても、歯垢を落とすのは、歯ブラシです。歯磨き粉は、大して力にはなってくれません。

あくまで、歯磨き剤は補助的存在に過ぎないという事実が消費者はあまり知らないのです。多くのメーカーがそうであるように、歯磨き粉の効果を謳うと、あたかも歯周病や虫歯にならないイメージを植え付け、消費者をごまかしている気がしてなりませんが、誰もが、歯磨き粉を使えば、スカッとして、磨いた気になってしまうもの事実ではあります。

化粧品・医薬部外品の歯磨き剤ともに基本的には清掃効果を期待したもので、補助的機能に過ぎないので、選び方は好みでよいと多くの専門家は言っています。歯科業界では、歯科衛生士たちは歯磨き粉のことを、「しまざい」と読んでいます。いわゆる歯磨剤をカッコよく呼んだ言い方ですね。昔は、粉状の歯磨剤が主流でしたので、歯磨剤全般を「歯磨き粉」と呼ぶ名残が長く続き、消費者の間では、「ハミガキコ」が一般的です。

形状には次のものがありまして、現在市場に出回っているものの約90%が練歯磨です。

①練歯磨(研磨剤は粉歯磨の1/2程度の含有)
②液状歯磨(研磨剤、粘結剤を含むゲル状の歯磨剤)
③液体歯磨(研磨剤・粘結剤は含まない)
④水歯磨(主に口臭の予防・除去用)
⑤その他

 

ところで、日本最初の歯磨き粉はどのようなものか知っていますか?


日本では、江戸時代に残されている記録で、1625年に歯磨き粉の販売が行われたことがわかっています。丁字屋喜左衛門が『丁字屋歯磨』『大明香薬』という名称で販売。成分は、陶器用の粒の細かい陶土が研磨剤として、線香の香りにも使われる龍脳などが混ぜ合わされて使われ、「歯が白くなる、口の臭いを取る」といううたい文句で販売されています。

そして、明治23年、日本初の練り歯磨きとしては、福原商店(現資生堂)がDr.長井長義の分析証明つきで発売した「福原衛生歯磨石鹸」。海軍の軍艦用として使用されたようです。資生堂は海軍病院薬局長を勤めた福原有信によって、銀座の地に日本初の洋風調剤薬局として1872年(明治5年)に創業したそうですが、今や、1兆51億円(2017年)も売上のある日本を代表する企業に。資生堂がまずは歯磨き粉を作り、会社を大きくしていったなんて驚きですね。

 

また、練り歯磨の容器として押出し式チューブが使用されるようになったのは1850年(嘉永3年)にアメリカでできたシェーフィールド練り歯磨が最初だと言われていますが、日本では、60年後の明治44年(1911年)にライオンが発売した「ライオン固練りチューブ入り歯磨」が最初だと言われています。チューブはまだ国内では生産しておらず、高価なチューブをわざわざアメリカから輸入して製造していたそうです。チューブ自体も当時は画期的だったんですね。

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