VIVA NEWS
掲載日2018.02.19
更新日2018.02.23
【歯ブラシの歴史/第11回】歯ブラシは世紀の発明!
歯ブラシは、世紀の発明!
人類最古の歯ブラシは、「楊子」で歯を磨く人が描かれている記録が残っていることから、三千年前から使われていた楊枝であることは間違いありません。歯磨きに関する最古の記録は、古代中国の敦煌の壁画にあると言われています。これが、いわゆる歯ブラシといってもよいかは意見の分かれるところです。
人類最古の歯ブラシである「楊子」は、進化の過程で原始的な歯ブラシとするならば、現在の「植え込み式の歯ブラシ」、そして弊社が開発・製造している「360°歯ブラシ」は、歯ブラシとして定義すると以下のようになるでしょう。
【歯ブラシとは、歯面に付着している歯垢などの付着物を人工的に除去するのに最も合理的で、簡単に使用できるように設計された歯口清掃用具である。】
日本では、歯ブラシが医療材料や医療用品ではなく、雑貨、化粧品として位置づけられているので、歯ブラシの発展には非常に時間がかかりました。日本で誕生して、普及率が95%を超えたのは、1世紀近くかかったのです。
虫歯、歯周疾患に対し、現在の歯科医学が取り組むべき課題は、非常にたくさんありますが、道具としても「歯ブラシ」も進化が必要であります。進化が緩やかなのは、一部の歯科医しか関心を払っていないことにも、原因があるのかもしれません。日本では歯ブラシの形状や種類は欧米に比べると少ないかもしれないですね。
ところで、戦前は、大阪府内の歯ブラシ製造業は、企業数、出荷額ともに大きく、大阪が全国唯一の産地でした。昭和20年代には、大阪は全国の出荷額の90%以上を占めており、現在でも大阪府に企業立地が集中していました。植毛工程がほとんど手植えで多くの労働力が必要とされたことから、生産の増加につれて、八尾の農家の家庭内職が利用され始め、やがてこれらの地域に工場が設立され、地場産業の発祥となりました。
第2次大戦後は、柄はプラスチック、毛はナイロンが使用されるようになり、技術革新による植毛工程の自動化などで供給能力は飛躍的に増加しました。同時に、歯ブラシの重要性が歯科医師らによって説かれ、当分野への大手メーカーの進出が相次ぎ、歯ブラシ市場の中小メーカーのシェアは著しく後退することになりました。
国内の歯ブラシの出荷金額
歯ブラシは大体年間4億5千万本ぐらい生産されていると言われていますが、実際の歯ブラシの市場販売数量は、2 億 9 千 7 百万本(平成 27 年)、そのうち子供用の歯ブラシは 3 千 6 百万本(12%)あるそうです 。(ライオン株式会社調べ)これは毎年あまり変わりません。日本の人口で割ると、1人あたり年間3本は購入しているということがわかります。メーカー推奨が1ヶ月なので、なかなか消費者が定期的に買い替えてもらえないのが、歯ブラシです。
そして、経済産業省工業統計調査によると、歯ブラシの国内出荷額は、近年約 400 億円で推移しています。歯ブラシ専業でやっていくには、市場は小さいと言えるでしょう。また、これはあくまで一般用であり、営業用ホテルや旅館で使う使い捨てインスタント歯ブラシ約2億1千9百万本は含まれていません。これ以外に歯科医院用が約5%も別途あります。
生産状況をみると、低価格の輸入品が増加していることや、消費者の低価格志向を反映して、単価が下落していましたが、ここ数年は、プレミアム歯ブラシがヒットし、単価アップが続いている傾向が見受けられます。また、360°歯ブラシなど、付加価値の高い商品も受け入れられるようになりました。